「クラウドッ?!」
エアリスは叫び、全霊をかけてクラウドの下に走り寄る。
 セフィロスの正宗がクラウドの身体を捉えるよりも先に、間に滑り込んだエアリスの肉体が盾となり迫る白刃を自らの身体に沈ませた。
 斜交いに斬りつけられた衝撃で、エアリス諸共クラウドは地面に転がる。
背に感じる草原の感触。
ひどく打ち付けたためか、呼吸をする度に身体が軋んだ。




「エアリス――?」
思い出したようにエアリスの名を紡ぐ。
セフィロスの白刃を目の前にし、死を覚悟していた中、あまりにも突然な事でクラウドの思考は覚束なかった。


叩きつけられた身体/身体を引き起こす/痛みに呻く/目の焦点が合わない/甘ったるい花の匂い/それにまぜこぜな鉄臭さ/どこだ/どこからだ/クラウドはよろめきながら立ち上がる/目を見開いた/白い花が赤く色付く一面/手を伸ばした/柔らかな感触/ぐにゃりとした温かいもの/特定の弾力/手が赤に染まった/嘘だろ/まさか/そんな/





「エアリスッ!」
吠えるようにしてクラウドは声を張り上げた。
慌てて花のうえに横たわるエアリスの体を抱き起こし顔を覗き込む。
エアリスの顔は青白かった。
断続的な擦れた呼吸をいっぱいいっぱいに続けている。

袈裟切りに刻まれた傷口からはとめどなく血があふれだす。
だらりと投げ出されたエアリスの腕がぴくりと動いた。
うっすらと瞳を開け、クラウドの顔を確認する。




「…クラウ、ド…」
エアリスは重い腕を上げクラウドの頬に手を重ねた。
氷のように冷たい。




「無事で、よかっ…た」
生気なくにこりと笑い、透き通るような瞳から涙を流したまま、エアリスの手がずるりとクラウドの頬から滑り落ちた。
どさりと地に落ちる。



それきり、エアリスは動かなかった。




「馬鹿な妹だな。人間なんかに心を許すからだ」
冷笑を湛え、見下すように立ちはだかるセフィロスは至極楽しそうだった。



「おまえもそう思うだろう?なぁ、クラウド」
クラウドの顔が怒りに歪む。
侮蔑と憎悪の入り交じった眼でセフィロスを睨む。


「…殺してやる。セフィロス…あんたを」
怒りを凝縮した声で、クラウドが言う。
セフィロスの握る朱を垂らした白銀の刀身が、月の光を受けて艶めかしく反射した。





【2006.4.9】
アルティマニアの本で、セフィロスとエアリスが兄妹関係という初期設定の話を見つけたので、パロディで書いてみました。
ACを観てからというもの、FF7の熱は上がるばかりです。
そして、いつぞやあさいさんの日記に描いてありましたセルフィロスが忘れられません。


「久しぶりだな、クラウド」
「…誰?!」

クラウドもびっくりです。
さてさて、ここまで読んでくださった方、掲載して下さったのこ様、転送してくださるあさい様、本当にありがとうございます。

最後に、文中に『特定の弾力』というものがありますが、これは乳ではありませんよ。(笑
ちなみに、クラウドはどっちかというと、ティファの乳のほうが好きです。(でかいから)